「土地は満点。でも、間取りは別だ」──前回の最後に自分でそう言ってしまった手前、この回は逃げずに書く。
8年住んだ今でも、やり直せるなら変えたいと思っている間取りは5箇所。この数字は施工の不具合の件数ではなく、設計のときに自分で選んで、住んでから毎日じわじわ効いてきた場所の数だ。設計担当が間違えた、という話でもない。
その5つをこの記事でそのまま並べる。並べてみて分かったのは、原因が5つではなく1つしかなかったことだった。Vol.12では土地を10か所も自分の足で歩いて選んだのに、間取りにだけは同じ執念を使わなかった。判断軸は最後まで「歩いて決めたか、図面を見て決めたか」の1本だけだ。
🐶 シートラ:富士住建で埼玉県内に家を建てて8年。土地は10か所歩いて選んだのに、間取りは図面の上で決めてしまった施主。
🧚 ふじまる:「間取りはプロが引くんだから大きな失敗はしないはず」と思いたい読者代表。楽観を順番に差し出しては折られる緑の妖精。
並べ方は工事費の大きさではなく、8年のあいだに「またか」と思った回数が多かった順にした。どれも壊れた話ではないし、打合せで無理を言われた話でもない。5つとも、こちらが図面を見て「これで十分」と答えてしまった場所だ。金額や面積の感覚はいずれも我が家の当時のものなので、そのまま自分のプランに当てはめないでほしい。
帰宅→荷物置き→手洗い→キッチン。図面の上では近く見えていたのに、実際は毎回ぐるりと回ることになった。一回あたりの差はわずかでも、毎日何往復もする道なので、8年のあいだに「またここを通るのか」と思う回数がいちばん多かった。打合せの段階で、図面の上を指でなぞるのではなく歩いてみればよかったと今でも思っている。
※我が家の8年・施主の体感。生活パターンにより感じ方は異なる。
シューズクロークを「あれば十分」と最小サイズで決めた。実際に入れたくなったのは靴だけではなく、傘・大きめの鞄・外で使う道具まで含まれていた。我が家の体感では「今しまいたい量の1.5倍」くらいで見ておくとちょうどよかった。棚の高さを後から変えられる作りにしておけば、もう少し粘れたとも思う。
※我が家の8年・施主の体感。世帯人数と趣味によって必要量は変わる。
設計のときは「廊下は通り過ぎるだけ」と考えて窓を省いた。ところが住んでみると、立ち話をしたりちょっとした作業をしたりと滞在時間があり、昼間でも電気をつける習慣になった。電気代にすると年間3,000〜5,000円ほどの差というのが我が家の試算だが、これは当時のうちの使い方での施主試算で、電気料金の単価や点灯時間が変われば数字も変わる。
※我が家の8年・施主の体感。金額は当時の使い方での試算。
パントリーの扉が、開けるとキッチンの作業位置にかぶさる向きで付いた。図面には開き方向がちゃんと描かれていたのに、こちらが見ていなかった。引き戸にするか、ヒンジの向きを反対にするだけで済む話で、費用の問題ですらなかった。内開き・外開き・引き戸のどれにするかは、実際の動きと並べて考えるべきだったというのが我が家の反省だ。
※我が家の8年・施主の体感。間取りにより最適な開き方は異なる。
設計のときは「物を置かない家にする」と本気で言っていた。8年後の現実は、リモコン・充電ケーブル・雑誌・薬・日用品がリビングにあふれている。うちの場合は、扉で隠せる収納を1箇所だけでも作っておけばよかったと思っている。見せる収納だけで足りる暮らしもあるだろうが、我が家はそちら側ではなかった、というだけの話だ。
※我が家の8年・施主の体感。暮らし方によって必要な収納は異なる。
ここから先は、いま挙げた5つを裏返しただけの話になる。新しい理論を持ってきたわけではなく、「自分が外した所の逆側に何があったか」を8年かけて言葉にしただけだ。他人の家に当てはまるかどうかは分からないので、チェックリストというより我が家の答え合わせとして読んでほしい。
ここが、この記事でいちばん実用的な部分だと思っている。我が家の設計担当は質問すれば丁寧に答えてくれる人だった。問題は、こちらが答えの出ない聞き方をしていたことだ。「広いですか」「使いやすいですか」と聞けば「はい」としか返りようがない。下の表は、5つの後悔それぞれについて「こう聞けばよかった」を書き出したものだ。
| 後悔ポイント | 防げた質問 | 理想の回答 |
|---|---|---|
| 動線が遠い | 帰宅から夕食までの動線を歩いてみせてもらえますか? | 図面上で施主と一緒に歩数確認 |
| 玄関収納不足 | 世帯人数分の靴と季節用品が全部入りますか? | 棚板枚数・奥行き・高さを具体的に確認 |
| 廊下が暗い | 廊下に自然光が入る窓はありますか? | 窓の位置と時間帯を図面に書き込んでもらう |
| パントリー扉 | この扉の開き方向は作業の邪魔になりませんか? | 動線との干渉チェック |
| リビング収納 | リビングに隠せる収納スペースはどこですか? | 扉付き収納の位置と容量確認 |
※施主体感ベース。会社・担当により確認方法は異なる。
「図面をちゃんと読めば防げたのでは」と自分でも何度も考えた。結論から言えば、我が家の5つは読解力の問題ではなかった。紙は平らで、扉も天井も光も立体だった、というだけだ。現物で確かめると印象が変わるという話はVol.11でも書いたが、間取りでも同じことが起きた。
※Amazonアソシエイトとして適格販売により収入を得ています。
ここまでの話を、打合せの席で実際に言えるセリフの形にしておく。立体の絵については、富士住建の場合は打合せで3Dパースを見せてもらえたので、こちらから頼めば済む話だった。頼まなかったのはこちらの落ち度だ。以下の3点は、我が家がもう一度やるならこの順でやる、というだけのものだと思ってほしい。

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